今の若い世代の人たちは、自分たちが公的年金を受給する頃まで、現在の公的年金制度が維持できるのか不安になっているようです。
そこで、公的年金に頼るだけでなく、自分の力で自分年金を準備する方法を考えてみました。
調べてみると個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」が良さそうです。その中でも、今回は投資信託型のiDeCoに着目したみました。
現在の超低金利時代に定期預金の利息はまったくあてになりません。年金は自分の力で準備する時代になったのかもしれません。
投資信託型のiDeCoは、メリットもデメリットもありますが、選択肢のひとつではないかと思い始めました。
※2018年8月末のiDeCoの加入者が、100万人(1,009,766人)を突破したそうです。(9/28の日経新聞より)
個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」
iDeCo(イデコ)とは、毎月一定金額(最低額 5,000円以上で1,000円単位)を積立て、あらかじめ用意された金融商品(定期預金・保険商品・投資信託)で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ることができる、自分で作る年金制度のことです。
iDeCoは、2017年1月の税制改正によって、自営業者、公務員、会社員、専業主婦など、20歳以上60歳未満の全国民が利用できるようになりました。(但し、60歳になるまで、引き出すことはできませんが!)
毎月の積立額は途中でも変更可能なので、その時の生活状況によって増減することはできるようです。(金額は年1回変更可能で、休止もできるようです)
iDeCoの最大の特徴は、積立てた金額すべてが所得控除の対象になるので、老後資金を蓄えつつ、節税になる得な制度といえます。
【iDeCoの掛け金の上限額と、元金の積立額】
参考程度ですが、30歳からiDeCoを開始して30年間の積立金総額、同様に40歳から20年間の積立金総額、同じく50歳から10年間の積立金総額も表に追加してみました。
条件 掛け金の上限額 |
30年間の元本積立額 (30歳から積立) |
20年間の元本積立額 (40歳から積立) |
10年間の元本積立額 (50歳から積立) |
---|---|---|---|
公務員 月額12,000円 (年額144,000円) |
4,320,000円 | 2,800,000円 | 1,440,000円 |
企業年金のある会社員 月額20,000円 (年額240,000円) |
7,200,000円 | 4,800,000円 | 2,400,000円 |
企業年金のない会社員 月額23,000円 (年額276,000円) |
8,280,000円 | 5,520,000円 | 2,760,000円 |
夫が会社員の主婦 月額23,000円 (年額276,000円) |
8,280,000円 | 5,520,000円 | 2,760,000円 |
自営業者 月額68,000円 (年額816,000円) |
24,480,000円 | 16,320,000円 | 8,160,000円 |
上記一覧表のうち「条件及び掛け金の上限額」については、下記サイトから引用しました。
出典元:厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
会社員の場合、現役の若いうちからiDeCoを開始していれば、自分年金として相当な額を準備できます。
自営業者に至っては、積立金の上限額が大きいので30歳からiDeCoを始めれば約2,500万円の自分年金を準備できることを示しています。
iDeCoなら積立金総額に運用益がプラスされ、さらに税制の優遇処置も受けられるので、その効果は大きいと思います。
iDeCoのメリットは税制優遇
次にあげる税制優遇メリットは、投資信託型のiDeCo限定ではなく、iDeCo全体としての税制優遇処置になります。
②運用で獲得した投資信託の運用益が「非課税」になります。
③受け取るとき(受給時)に課税されますが、以下の控除が適用されます。
・年金で受給する場合は、雑所得となり「公的年金等控除」が適用。
・一時金で受給する場合は、退職所得となり「退職所得控除」が適用。
このように、iDeCoの税制優遇処置は3つの優遇ポイントがあり、iDeCoの最大の特徴と言えます。
この税制優遇を利用して自分のための自分年金(老後資金)を準備することは、現役の若い世代にこそ、お勧めできる制度だと思いました。
iDeCo「投資信託」のデメリット
iDeCoの投資信託型は、定期預金型・保険商品型と違い元本保証されないというデメリットと、手数料が掛かるというデメリットがありますので、十分に注意して下さい。
60歳まで引出しできないからこそ、自分年金として確実に蓄えられますが!
②資産運用をプロに任せる金融商品なので、結構な手数料が掛かります。
③「投資信託」なので、元本保証されません。(元本変動型)
(一方、定期預金型、保険商品型は元本保証されます(元本確保型))
投資信託型のiDeCoが60歳まで受給(引き出し)できないのは、他の定期預金型、保険商品型の商品も同じなので、デメリットとは言わないでしょうが、60歳まで受給(引き出し)できないのがiDeCoという制度の特徴なので注意して下さい。
投資信託型のiDeCoの一番の最大のデメリット(リスク)は、元本保証されないことと、運用手数料として結構な金額が掛かることが挙げられます。
と言いながらも、投資信託はリスクもある代わりに一般的に運用利回りが良いとされているので、投資信託型のiDeCoを選択する価値はそれなりにあると思います。
老後資金を貯めるために通常の投資信託をするなら、投資信託型のiDeCoを選択する方が税制優遇面からも断然お得だと思いました。
iDeCo「投資信託」の手数料
投資信託は資産運用のプロが扱う金融商品なので、手数料(信託報酬又は運用管理費用)が掛かります。
信託報酬(運用管理費用)は投資商品や運用スタイルによって異なり、残高に対する比率で明示されています。
保有残高が大きければ大きいほど金額も大きくなります。しかも運用期間中は常にかかり続ける手数料ですから、iDeCoの投資信託型は、受給するまでの期間が長いので、口座管理料以上に注意が必要になります。
iDeCoの投資信託は、掛金(又は残高)から継続して負担するコストが2種類あります。
・投資信託の信託報酬(商品のコスト)
・口座管理料
金融機関を選ぶ際には、「口座管理料」だけでなく、商品にかかる「信託報酬」も十分に比較検討する必要があります。
特に、20歳、30歳代の若い人ほど長期運用になるので、注意して下さい。
「信託報酬」については、商品(取扱銘柄)によって多くのバリエーションがありますので、各金融機関のサイトでジックリ比較検討する事をお薦めします。
【手数料が安い主な金融機関(参考)】
・楽天証券 加入手数料2,777円 月額手数料167円
・SBI証券 加入手数料2,777円 月額手数料167円
〇加入手数料:初回に掛かる費用
〇月額手数料:運用期間中 毎月掛かる費用
出典元:マネックス証券 iDeCo(イデコ) 手数料
出典元:楽天証券 手数料
出典元:SBI証券 iDeCo(個人型確定拠出年金)の諸経費
iDeCo「投資信託」の金融機関
iDeCoは金融機関に専用口座を開設して積立を始めますが、金融機関によって、口座管理手数料や運用できる金融商品(定期預金、保険商品、投資信託)が異なります。
iDeCoは、どんな商品を選択するかによって運用成績や将来の受給金額に大きな差がつきます。
金融機関は、銀行、証券会社、保険会社ですが、原則として、運用を任せることができる機関は1社だけなので慎重に選ばなければなりません。
金融機関を選択する際のポイントは「取扱い商品一覧」です。購入したい商品があるか金融機関の品揃えを必ず確認しましょう。
【運用商品が多い主な金融機関(参考)】
・楽天証券 元本確保(保証)型 1件、元本変動(非保証)型 30件
・SBI証券 元本確保(保証)型 4件、元本変動(非保証)型 63件
出典元:岡三証券の商品ラインナップ
出典元:楽天証券 取扱商品一覧
出典元:SBI証券 取扱商品一覧
50歳以上の人がiDeCoを始める場合の注意点
iDeCoの受給開始年齢は、60歳時点で加入者期間が10年に満たない場合は、通算の加入期間によって下記の通り異なるので注意が必要です。
通算加入期間 | 受給開始年齢 |
---|---|
10年以上 | 満60歳 |
8年以上10年未満 | 満61歳 |
6年以上8年未満 | 満62歳 |
4年以上6年未満 | 満63歳 |
2年以上4年未満 | 満64歳 |
1ヶ月以上2年未満 | 満65歳 |
まとめ
今回は、自分年金を準備するのに税制優遇メリットがあるiDeCoの投資信託型を紹介しましたが、掛け金の全部を投資信託型にせず、元本保証されている定期預金型又は保険商品型のiDeCoと組み合わせ、分散投資して運用していくのが安全だと思いました。
どの商品を選択するにしても、iDeCoは若い時から始めれば始めるほど長期間に渡る運用になります。
口座管理料・信託報酬などのコストを確認して、シッカリと優れた金融機関を選択するよう心掛けるのが肝心なようです。
今回の記事が、自分年金で老後資金を準備しようとしている、あなたの参考になれば幸いです。