私は、両親が信託銀行と契約した「遺言信託」によって、信託銀行による遺言執行を計らずも2度も経験しました。

そこで、今回は専門的なことはあまり掘り下げずに、私が体験した遺言信託に関する事柄と、私が感じたそのメリット/デメリットについて触れてみたいと思います。

遺言信託と父の遺言書

父親が亡くなった時に、信託銀行と「遺言信託」を契約していたことが判明しました。

父親の葬儀の席で叔父さんから、父の「手書きメモを渡され、「XX信託銀行と遺言信託を契約している」ことを知らされました。

最初は、父の葬儀でバタバタとしている最中に「遺言信託」という馴染みのない言葉を聞いたため、それって「どういうこと?」という状態でした。

告別式が終わった数日後に、そのXX信託銀行に電話確認して、同行本店を訪ねました。

信託銀行の担当者から、両親が70歳代中盤に「公正証書の遺言書」を作成し「遺言信託」を契約していたことを告げられました。(父親・母親ともに契約していました)

確かその日(初回訪問時)は「公正証書の遺言書」の内容は見せてもらえなかったと記憶しています。

圭一
遺言書を見るときは、正直ドキドキしましたね!!
だって、普通の家庭では遺言書なんて作らないですよね?

さらにその数日後、父親と私の相続関係を証明する公的書類(戸籍謄本、父親の除籍証明書、死亡診断書、私の住民票等々)を信託銀行に持参して、晴れて父親の遺言書を見ることが出来ました

そもそも父親が遺言書を作成していたこと自体が「寝耳に水」状態なのに、それを信託銀行に預け契約までして、遺言執行・遺産相続手続きを全て信託銀行に委託契約していたなんて!!

実は、私が小学生の時に、私の生みの母が亡くなって父が再婚した以降は、父親と私の関係はあまり良い状態ではありませんでした。

この遺言信託の件で、私はよっぽど信用されていなかったのだと、遺言信託の話を知った時に思いましたね。さらに、私の知らない兄弟姉妹(俗に言う隠し子)でもいるのかと、一瞬そんな事も頭にうかびましたね。本当にドキドキでした。

しかし、遺言信託で預けられていた遺言書の内容は、それほど心配するものではなかったです。父の財産を後添えの妻(私から見た継母)に相続させる内容でした。知らない兄弟姉妹もいなかったのでホットしたことを記憶しています。

但し、遺産を全て母親に相続させる点だけでも、息子である私は父親からほんとに信用されていなかったことを感じ、すこし寂しい気持ちになったことも思い出します。

遺言執行人は信託銀行

遺言書には遺言執行人を信託銀行にする旨の一文が書かれていました。

父親の遺言書を執行するためには、遺産相続人(母と私)が「信託銀行を遺言執行人に任命する手続き」が必要になるとのこと。

私は、その意思表明(任命する書類に署名して実印を捺印)することが出来るのですが、母親は認知症のため意志表明が出来ないと信託銀行が言い出しました。

法律的にはあたりまえの話なのでしょうが、父親の葬儀が終わってやっとホットしたところで、また何を言い出すのかと、少々腹が立って信託銀行の担当者に毒づいたことを記憶しています。

面倒くさいけど遺言執行を先に進めるためにはショウガナイとあきらめて、母親を成年被後見人として、成年後見の審判を家庭裁判所に申請し、私が成年後見人になりました。(この手続きにも結構な費用が掛かりました)

信託銀行に紹介された司法書士さんに成年後見の審判申請に必要な全ての書類作成を依頼して約10日間で完成し、そして家庭裁判所にその申請書類を提出して、審判が確定するまでに約3週間程度かかりました。書類を作成してくれた司法書士さんによると異例の速さだったようです。

審判が確定すると法務局に成年後見人として登記されましたので、晴れて母親の代理人として私が「信託銀行を遺言執行人に任命する手続き」を終えることが出来ました。

ここからやっと、信託銀行による遺言執行が始まりました。

父親が亡くなって遺言執行が完了したのは、約11ヶ月後だったと記憶しています。

遺言信託のメリット

父親の遺言信託で私が感じたメリットは、

・父親の銀行預金口座の閉鎖手続きが簡単でした
信託銀行が遺言執行人なので、父親の他銀行の預金口座の閉鎖手続き等の、
非常に煩わしい手続きは、全て遺言執行人である信託銀行が実行してくれました。
私は何もすることもなく非常にラクチンでした。

・遺産相続に関する税務署の手続きも簡単でした
その後、信託銀行が「遺言執行完了書」を完璧に作成してくれたおかげで、
遺産相続に関連する税務署等への申告なども非常にスムーズだったことを記憶しています。

上記内容は、私が体験した事柄なので、信託銀行がオフィシャルに記載しているメリットとはかけ離れた内容かもしれません。

遺言信託のデメリット

遺言信託のデメリットは、ひと言で言えば、多額の費用が掛かる事だと思います。

遺言信託の申込時に費用が掛かる
「公正証書の遺言書」を作成するのには、保有財産の内容確認などの専門的な知識が
必要になりますが、それらのサポートを受けながら遺言書を作成するために、
その費用が掛かるようです。
両親の遺言書作成を知らななったので金額は不明です。(金融機関のサイトを参照して下さい)

・「遺言書の保管」に費用が掛かる
遺言書は金融機関に保管するのが一般的だと思いますが、その保管にも費用が掛かります。
これは、母親の遺言書の保管料で知ったことですが、年間7千円程度でした。

・「遺言書の変更」に費用が掛かる
これは経験ありませんが、信託銀行のサイトをみると「遺言書の変更」にも費用が掛かるようです。
銀行によって手数料額が違いますが、だいたい5万円~6万円程度掛かるようです。

・「遺言書の執行」に多額の費用が掛かる
遺言執行にかかる費用は、まずは遺言執行報酬の最低報酬額が掛かります。
さらに、保有財産の評価額によって料率が決まっていて、報酬額が大きく変わってきます。
これも、金融機関によってかなり違いがあります。

まとめ

金融機関による遺言信託は、ほんの少しメリットは感じますが、デメリットとしては非常に多額が費用が発生する事だと思います。

私の場合は、結果的に両親とも遺言信託を委託契約していたため、遺言執行を拒否することは出来ませんでした。私が残念に思うのは、遺産相続に際して、多額の費用を信託銀行に支払うことになり、遺産相続の預貯金額が大きく減少したことです。

遺言執行でだいぶ楽をしましたが、遺言執行の手数料で支払った金額を考えると、その費用対効果はかなり低いと感じました
普通の家庭で個人的に遺言信託を利用する価値は低いのではないでしょうか?

今回の記事が「定年後を豊かに暮らす知恵」になるとは思えませんが、あなたの何かの参考になればとの思いで書きました。