公的年金を少しでも多くもらうには、年金の受給開始年齢を遅らせる(繰り下げ受給)方法があります。但し、繰り下げ受給にはメリットだけではありません、あまり知られていませんがデメリットもあるので注意しましょう。

公的年金は、生きている限り(100歳でも、それ以上でも)ずっともらえる大切な終身年金なので「受給開始年齢を繰り下げる」と決める前に、その判断材料を調査してみました。

※2018/10/4の日経新聞によると、根本厚労相は「働く高齢者を増やすため、年金を受け取る年齢を70歳を超えてからでも選べるようにする制度改革を進める方針」と語っています。これは、支給開始年齢を引き上げることで、将来世代の給付水準を維持しやすくするためのようです。

「繰り下げ受給」のメリット

メリットは「増額された年金額を生涯受給できる」の1点です。

受給開始を1ヶ月繰り下げるごとに、年金を0.7%ずつ増額する仕組みになっています。
最長5年間繰り下げると、70歳から受給する年金は42%の増額になります。
  0.7%×60ヶ月=42% の増額
これが、一生涯続くことになるので、年金の総額が大幅に多くなります。

単純計算すると、5年間を繰り下げた場合、82歳まで長生きすればトントンの額になります。
82歳以上長生きすれば、どんどんお得になります。
  (下の表を参照して下さい)

「繰り下げ受給」のデメリット

一方、デメリットは、
①「年金なし」の期間が発生する
  例えば、最長70歳まで繰り下げると、65歳~70歳までの5年間は、
  「年金なし」で生活することになります。

②手取り額は42%の増額ではない
  年金の繰り下げ受給を最長の5年間とした場合、
  額面で42%は増額されますが、手取りは33%しか増えません
  その理由は、所得額が多くなることによって、
    ・所得税が高くなること
    ・社会保険料も高くなること
  があげられます。

③受給を繰り下げた配偶者が亡くなっても遺族年金は増額されない
  夫が繰下げ受給をしていて、その後亡くなっても、
  妻が受給する遺族年金の増額はありません。

繰り下げ受給するか迷う

年金の受給開始年齢を繰り下げる否か、大変迷います。

繰り下げ受給をした人が、65歳から年金を受給開始した場合と比較してみると、受給する累計額を超える年齢が、何歳になるか気になるところです。

受給開始年齢 累計額を超える年齢
66歳から受給開始すると 77歳10ヵ月で追い越します
67歳から受給開始すると 78歳10ヵ月で追い越します
68歳から受給開始すると 79歳10ヵ月で追い越します
69歳から受給開始すると 80歳10ヵ月で追い越します
70歳から受給開始すると 81歳10ヵ月で追い越します

結局、「年金の繰下げ」の制度は、長生きすることが前提の仕組みである事は間違いないようですね。

70歳まで繰り下げた人は、約82歳まで長生きしないと損になる仕組みです。(65歳からもらい始めた人に比べて)

厚生労働省の発表によると、2017年の日本人の平均寿命は、
  ・男性は「81.09歳」
  ・女性は「87.26歳」
特に男性の場合は、82歳(81歳10ヶ月)で累計額がトントンになる計算はビミョーですね。

圭一
最近「人生100年時代」と言われていますが、自分はいくつまで生きられるのか、分からないのが本音ですよね。
繰り下げ受給をするかどうか、大変迷うところです。

年金繰り下げ請求にかかる注意点

年金を繰り下げ受給する際の注意点が沢山あります。

年金繰り下げ請求にかかる注意点
日本年金機構に書かれている注意点の抜粋を転載します。

1.繰下げできるのは、他年金の権利が発生するまでの間です
2.他年金の権利が発生したら、すみやかに年金の請求手続きを行ってください
3.繰下げ請求は、老齢基礎年金の権利発生から1年以上待ちましょう
4.老齢厚生年金と老齢基礎年金をそれぞれに繰下げ時期を選択できます
5.加算額は、繰下げしても増額されません
6.繰下げによる年金は、請求された月の翌月分からの支払いとなります
7.「繰下げによる増額請求」または「増額のない年金をさかのぼって受給」のどちらか一方を選択できます
8.繰下げ請求は、遺族が代わって行うことはできません

上記は注意点の抜粋です、詳細は下記サイトを参照して下さい。
  出典元:日本年金機構の「老齢基礎年金の繰下げ受給」より

ただ正直なところ、このサイトに書かれている注意点の説明だけでは、よく理解できません。
年金の繰り下げ請求の大筋をつかんだら、年金事務所に出向き、手続きする前にその詳細について確認する事をお勧めいたします。

時効に注意

公的年金は原則として65歳からの受給になりますが、これを最長70歳まで繰り下げることを、迷って先延ばしにするのはダメです。

65歳から受給する場合も、受給開始年齢を繰り下げる場合も、必ず受給するという申請をしなければなりません。(時効があるので注意しましょう)

日本年金機構のサイトには、
『年金を受ける権利(基本権)は、権利が発生してから5年を経過したときは、時効によって消滅します。』
と書かれています。
 出典元: 日本年金機構「年金の時効」

圭一
必ず、年金事務所の窓口に行って受給の申請をしましょう。

ここからは本題のテーマから外れますが、参考程度に記載します。

国民年金の未納期間がある人は

国民年金は20歳~60歳までの40年間(480ヶ月)の保険料をちゃんと納付していれば、老齢基礎年金を満額受給することができます。

国民年金保険料の納付期間が40年に満たない場合は、65歳までに任意で保険料を納める制度「国民年金の任意加入制度」を利用する方法があります。

年金を満額受給するために、この任意加入で未納期間をなくすことができます。

例えば、納付期間が38年(456ヶ月)で、2年間の未納期間があるような場合は、「国民年金の任意加入制度」を利用して2年間分の保険料を支払えば、老齢基礎年金を満額受給することができます。

長生きすればするほど、定期預金などで金利をもらうよりは、はるかにコスパの良い年金受給額になります。

付加年金

「第1号被保険者」の人たちは基礎年金だけなので、もともと年金が少ないので「付加年金」という上乗せの制度があります。
   ※第1号被保険者:個人事業主(自営業者、農業・漁業者、学生、フリーランス、無職)など

付加年金は、
  ・月額保険料 :月額400円(一律) ← 支払額
  ・年間受給額 :月額200円×付加保険料の納付月数 ← 受給額
です。

例えば、付加年金保険料を30年間納付する場合、合計で144,000円納付します。
  400円×360ヶ月(12ヶ月×30年間)= 144,000円 ← 支払額

これに対して、年金としてもらえる金額は72,000円(年間)になります。
  200円×360ヶ月 = 72,000円(年間) ← 受給額

この金額を通常の老齢基礎年金に上乗せして、毎年受け取ることができるのです。
この制度も、年金をもらい始めて2年で元がとれるコスパの高い制度と言えます。

まとめ

今回は、「年金の繰下げ受給」によるメリットだけでなく、あまり知られていないデメリットについても確認しました。
参考までに、「国民年金の任意加入制度」「付加年金」というコスパの高い制度についても記載しました。

公的年金は、生涯もらえる大切な終身年金なので、年金の受給開始年齢を「繰り下げる」か否か、大変迷いますよね。
自分の現在の健康状態、将来の健康寿命の期待値、長生きするという強い意志、等々を考えて判断する事になるのではないでしょうか?

当サイトにも関連記事がありますので、宜しかったら見て下さい。

 

 出典元:今回の記事は、下記サイトを参考に作成しました。
  ➤ 日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給」
  ➤ 日本年金機構「任意加入制度」
  ➤ 日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」