「ゆる投資」で老後資金を貯められるか?

「ゆる投資」、あまり聞きなれない言葉ですが、これは定年退職をした人が、そのゆとりの時間とお金を生かして、株式・投資信託・不動産などに余裕資金の範囲内で投資をすることを指します。

余裕資金による少額の投資になるので、あまり大きな利益になならないでしょう。従って、今回の記事テーマである「ゆる投資」で老後資金を貯めることは出来ないと、私は思います。

それでは、何のために「ゆる投資」をするのか、見てみたいと思います。

「ゆる投資」とは

「ゆる投資」とは、定年退職した人のなかでも、時間的余裕と金銭的余裕がある人が、株式・不動産・投資信託などに少額を投資して、その投資資金の運用で一喜一憂する体験を楽しんだり、投資のための勉強を楽しんだり、投資という経済活動をすることで経済社会と接点を持ったり、同好の人との交流を楽しむことだと、私は考えています。

余裕資金=少額の投資になるので、もしも、その投資に失敗しても熱くならず、余裕を持ってその状況を楽しむくらいの投資を「ゆる投資」と言ってもよいと思います。

「ゆる投資」の効果

ファイナンシャルプランナーの森本幸人さんが、「ゆる投資」の効果を次のように表現しています。
『シニアにとって株式や不動産への投資は、頭脳を働かせて現実の経済社会と接点を持てるという点で意義がある。投資によって市場の動きに関心がわきセミナーに行ったり、経済関係の本を読んて理解を深めたりするだろう。』(出典元:日本経済新聞 2018/9/6 夕刊 セカンドステージ)

後述する事例の人は、皆さん「ゆる投資」を実践することで定年後の人生を楽しんでいます。

さらにさらに「ゆる投資」を実践することで、現実の経済社会との接点を持ち、いろいろな人と交流することで、ボケ防止にも役立っているのではないでしょうか? これこそ「ゆる投資」の大いなる効果・メリットではないかと思います。

『お金は人間の本能的な欲望に直結している。少額であっても増えればうれしいし、減ればくやしいから、頭脳の活性化につながる』と森本幸人さんも述べています。(出典元:日本経済新聞 2018/9/6 夕刊 セカンドステージ)

「ゆる投資」のリスク

「ゆる投資」は、投資した資金の増減に一喜一憂しながらも、余裕を持ってその資金の増減を楽しむことが大切だと思います。

「ゆる投資」の投資資金は原則として少額のはずですが、投資したからには増える事を期待しますよね。

投資した資金が減少すると熱くなって冷静さを失い、それを取り戻そうとして大切な老後資金から追加投資して失敗すれば、これでは本末転倒です。

余裕資金での「ゆる投資」のつもりが、大切な老後資金を失って下流老人になっては元も子もありません。人間の本質的な欲望に根ざす「お金」を運用する「ゆる投資」ですが、リスクとしての側面もあることを忘れてはいけないと思います。

「ゆる投資」と言えども投資に変わりはないので、上記の様なリスクを含んでいる事を忘れずに、あくまでも余裕資金の範囲内で投資を楽しむことが、絶対の条件だとつくづく思います。

「ゆる投資」の事例

日本経済新聞の2018/9/6夕刊のセカンドステージという記事に、「ゆる投資」を実践している人の記事がありましたので紹介します。

株式投資を楽しむ

両親の介護のために昨年、会社を退職したIさん57歳は、介護の傍らスマートフォンで株式投資を楽しんでいる。たまに現役で働く友人たちと居酒屋で飲むときも「有望なベンチャー銘柄の話などで盛り上がれるし、介護の息抜きにもなる」とのことです。

アパート経営で楽しむ

練馬区在住のKさん67歳は、高齢の母親から経営をまかされた古い木造アパートで「いろいろ工夫を凝らすのが楽しい」という。(中略)土壁だった内装に白い壁紙を張り明るい雰囲気にしたほか、インテリア雑誌を参考にして、IKEAなどの家具店でベッドやデスクを購入。(中略)これが成功して2階建て6室がほぼ満室になっている。

  出典元:「日本経済新聞 2018/9/6夕刊 セカンドステージ」より

上記事例の皆さんとも、「ゆる投資」を実践することで「人生を楽しむ」というキーワードが含まれているのが最大の特徴ではないかと感じました。

定年後に少々の余裕資金があれば、それを運用する「ゆる投資」に回せば、投資の勉強をすることで頭の体操になり、社会の経済動向に敏感になり、その話題で人との接点がうまれ、身体の健康維持に繋がり、頭の老化防止にも良い効果が生まれるのではないかと感じました。

現実問題して、「少額のゆる投資」では老後資金を貯めることは出来ないかもしれませんが、「人生を楽しむ」ことで心と身体の健康を維持できれば、貯蓄以上の良い効果があると思いました。

定年退職前に蓄えた預貯金は、大切な老後資金です。これを増やそうとしてリスクのある無理な投資をして失っては本末転倒です。上記事例の皆さんのように「無理のない少額のゆる投資」を実践することが肝心だと、この日経新聞は伝えていると思います。

最初は冷静に少額の投資をしているつもりでも、投資額の上昇・下落でついつい熱くなり追加投資をすれば、冷静な判断が出来なくなるのが一般的な傾向だと思います。「少額のゆる投資」で、社会(経済)の動向に関心を持ち、人との繋がりを持つことが、人生を楽しみ豊かに暮らす秘訣だと、この記事を読み感じました。

まとめ

今回の記事は、

  ・「ゆる投資」で老後資金は貯まらない
  ・「ゆる投資」の実践は、定年後の人生を楽しむことが肝心
  ・「ゆる投資」の実践は、ボケ防止になるかも
  ・「ゆる投資」に潜むリスクの一面に注意

このような内容と、「ゆる投資」で定年後の人生を楽しんでいる人の事例も紹介しました。
当サイトの参考記事です。宜しかったら見て下さい。