垣谷美雨(かきや みう)さん著作の小説『老後の資金がありません』に出会いました。

この小説、すごく気に入りました。

小説の前半は間延びした展開で、読むのが少し、しんどかったですが、中盤あたりからの内容が急展開してグイグイと引き込まれました。ネタバレしない程度に紹介します。

小説『老後の資金がありません』と私

垣谷美雨さん著作の小説『老後の資金がありません』が、中央公論新社から2015年9月24日に単行本として出版されまていましたが、今回、2018年3月23日に中央公論新社から文庫本として出版されました。

50歳代の主人公の後藤篤子は、自分たち夫婦の老後資金として、知恵を絞って家計をやりくりし貯めた預金が1,200万円になっていたが、娘の派手婚・舅の葬儀と墓代金・姑の生活費などで支出がかさみ、あっという間に残高は300万円を切ってしまった状況に追い打ちを掛けるように、夫婦そろってリストラになり失職。これから、どうやって暮らせばいいのか・・・こんな感じで物語は進んでいきます。

私の場合は、我々夫婦のために確保した老後資金は、両親の介護費用でほとんどを消失してしまいました。この小説の主人公・後藤篤子とは、老後資金を消失した原因は若干違えど、大まかには似たような状況にありましたので、少ない年金だけに頼った生活で、将来に対する不安がいつも心の奥底にありました。そのためか、小説に入れ込む度合いが半端なかったですね。

この後、主人公・篤子が、どの様にしてこの難局を乗り越えていくのか、私の今後の生き方のヒントになるのではないかと、一気に小説を読み切りました。

主人公「後藤篤子」はこの難局をどう乗り越えたか?

夫の章は定年まであと3年にせまった状況で、娘が結婚することになったが、先方都合で600万円もかけた派手婚にするということに主人公は憤慨しています。物語が進行していくと、舅が亡くなりその派手葬儀・墓代金で預金が減り、その後お姑さんの贅沢な老後生活への仕送りなどもかさなり、自分たちの大切な老後資金の残高はどんどん残り少なくなる。

これなど、状況は違えど、私の場合は両親の介護費用補填で、自分たち夫婦の老後資金の残高がどんどん減っていく事に似ていましたので、主人公・篤子の心境が痛いほど理解できました。物語の途中から完全に感情移入して(自分の事のように)読んでいました。

小説はハラハラした展開で、家族を取り巻く難局に振り回され、奮闘する主人公・篤子に入れ込みながら応援する自分がいて、ドキドキしながら読み進める事になりました。

主人公・篤子の置かれている状況は大変な難局ですが、家族との絆や友人との関係が著者の見事な作風で描かれていると思います。

高級な老人ホームにいた、お姑さんを篤子の自宅に引き取ると(姑との同居)、物語は急で意外な展開をしていきます。

圭一
...この姑さんが、素晴らしいキャラクターでした...!!

これ以上は、ネタバレになるので、私からの紹介はここまでにしておきます。

このような展開で物語に一喜一憂しながら、私の置かれた状況に置き換え、不安な生活を乗り越えるヒントや勇気をもらったような気がします。

「解説」を書かれているのは室井佑月さん

作家の室井佑月(むろい ゆづき)さんが、この文庫本の解説を書かれています。
解説のタイトルは、「こういう本が読みたかった」。 室井さんの解説を一部紹介します。

老後のHOW TOは、多くの雑誌で取り上げられていたし、テレビ番組でも特集を組んでやっていた。(中略)けど、そのどれもがあたしを安心させてはくれなかった。(中略)この物語を読んで改めてわかったが、豊かな老後に不必要なものは、くだらない見栄。そして、必要なものは、友達(とあたしにはいないけど仲の良い夫?)。

  出典元:小説『老後の資金がありません』の解説より 垣谷美雨著 中央公論新社

圭一
室井さん、その通り、まったく同感です。

物語にも大変入れ込みましたが、この室井さんの解説の言葉にも深く浸み込むものがあり、強い共感を覚えました。

確かに最近、老後のHOW TO本、関連の雑誌記事、テレビの特集、ネットの情報とたくさん見ますが、どれも自分にマッチする情報とは言えない部分があり、老後に対する不安はなかなかぬぐえません。

圭一
当サイトの記事も似たような感じかもしれませんね・・・やや自虐的!

そのな状況でも、この小説を読んだ後、少しだけ心が楽になったような感覚になりました。

この小説を読んで感じましたが、ほんとに定年後を豊かに暮らすために必要なものは、大切な友人と仲の良いパートナー(夫・妻)ですね。そして不必要なものは世間体を気にした見栄だと分かりました。今後の生き方の参考になると感じました。

小説『老後の資金がありません』文庫本の紹介

  本:『老後の資金がありません』 (中公文庫) 文庫 – 2018/3/23
  著者:垣谷美雨(かきや みう)さん
  出版社: 中央公論新社
 出典元:amazon『老後の資金がありません (中公文庫) 文庫 – 2018/3/23』

大変ステキな小説でした。

50歳代で老後資金が準備できていない世帯が約3割もある」(出典元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」2016年 の4ページより)という統計もありますが、現在定年後の人、または定年退職が迫っている人にとっては、「老後の資金がありません」というタイトルは、かなり強烈なものです。

しかし、この小説は、あなたの心の中に暖かな温もりを届けてくれるように感じます。(私は、そのように感じました) 興味が湧きましたら読んでみて下さい。
 

まとめ

本屋で何気なく手にした文庫本の「解説」が、あのテレビで良く拝見する室井佑月さんが書かれているので、そのまま解説を立ち読みして、これは面白そうな本だと直感して、購入に至りました。

上記の様に小説の内容も大変気に入りました。そして、定年後を豊かに暮らすヒントも頂きました。

圭一
簡単な「まとめ」でした・・・