60歳で定年退職して、公的年金の繰上げ受給をしなければ、原則として公的年金は65歳から受給することになりますが、60~65歳までの5年間は仕事に就かなければ無収入になります。

そして、65歳から年金を受給しても生活費(支出)が年金額(収入)を上回れば、預貯金(老後資金)を取り崩しての生活になります。

平均寿命を考えながら、これから必要になる資金はいったいどの位必要になるのか試算してみました。

定年退職後に掛かる生活費(支出額の概算)

かなり古い情報ですが、総務省統計局が2007年に発表した家計調査によれば、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上,妻60歳以上の夫婦)の総支出は月額約27万円(269,681円)とのことです。

高齢夫婦無職世帯の総支出は月額約27万円で、その内訳は下記のとおりです。
尚、総務省統計局の調査結果では消費支出額の各内訳科目毎は「%」表記だけなので、それを金額に置き換えて下記表を作成してみました。
 【非消費支出額:32,206円】
   ・税・社会保険料   : 32,206円
 【消費支出額:237,475円】         
   ・食費        : 58,181円 (24.5%)
   ・住居費       : 15,436円 ( 6.5%)
   ・光熱・水道費    : 18,760円 ( 7.9%)
   ・家具・家事用品費  : 8,787円 ( 3.7%)
   ・被覆・履物費    : 7,837円 ( 3.3%)
   ・保健医療費     : 16,386円 ( 6.9%)
   ・交通・通信費    : 22,323円 ( 9.4%)
   ・教養娯楽費     : 27,547円 (11.6%)
   ・その他(交際費等)  : 62,218円 (26.2%)
     支出額の総合計  :269,681円(月額)

  出典元:総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)平成19年 家計の概況
         「世帯属性別の家計収支」の43ページ
      図Ⅱ-6-4 高齢夫婦無職世帯の家計収支-平成19年-

総合計額の269,681円(月額)だけを見ると、毎月こんなに(27万円も)生活費が掛かるのかと驚きでしたが、その内訳をキッチリ見てみると、結構 納得感がありますね。

それぞれの内訳を見て自分の生活状況と比較しても、上記の月額約27万円の生活費は、決して贅沢な生活をしている様には思えません。むしろ節制をして、かなりつつましく生活をしている様にも思えます。

年金の受給額(収入額の概算)

収入額のほうも古い情報ですが、総務省統計局が2007年に発表した家計調査よれば、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上,妻60歳以上の夫婦)の総収入は月額約22万円(223,459円)とのことです。

当然ながら老齢厚生年金の受給有無を考慮すると、年金受給額はその人の条件により大きく変わってきますが、総務省統計局の家計調査結果の収入金額をそのまま使います。

2007年の高齢夫婦無職世帯の総収入は月額約22万円との事です。
   ・社会保障給付費   :207,574円
   ・その他の収入    : 15,885円 
      収入の合計額  :223,459円(月額)

  出典元:総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)平成19年 家計の概況
         「世帯属性別の家計収支」の43ページ
      図Ⅱ-6-4 高齢夫婦無職世帯の家計収支-平成19年-

明らかに「支出額 > 収入額」となり、毎月不足額が発生しています。この不足額を自分の預貯金から充当しなければなりません。
  収入額(月額約22万円/)-支出額(月額約27万円)=不足額(月額約5万円)

現役時代に頑張って貯めた老後資金(預貯金)を取り崩して、不足額に充当しなければ生活できないのが現実です。
毎月の生活費を抑えて支出額を減らす対策もありますが、それにも限度がありますね。

定年後も、支出額を抑える対策と同時に、年金以外の収入額を増やすために、頭・身体が動くうちは仕事を継続することも非常に大切なことだと思います。定年後の仕事に何があるか、という記事を書きましたので、宜しかったら見て下さい。

それでは、次に平均寿命で計算した場合の、必要な老後資金の試算をしてみます。

平均寿命で計算した、定年退職後に必要な資金

最近は、100歳以上の高齢者がどんどん増えてきて、人生100年時代と言われていますが、上記の老後資金の不足額がいくらになるのか試算するために、平均寿命を85歳と仮定してみました。

65歳から年金受給を開始して、85歳までの20年間の不足額を試算(単純計算)してみると、

月 5万円の不足額で20年間は、1,200万円(5万円×12ヶ月×20年)←かなりギリギリ?
月10万円の不足額で20年間は、2,400万円(10万円×12ヶ月×20年)←チョット余裕?

つまり、定年退職後に備えて準備しなければならない老後資金は、単純計算で約1,200万円~2,400万円になります。

金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 2016年」によると、「金融資産を保有していない」と答えた世帯は30.9%もあるそうです。(ちなみに50歳代に至っては29.5%が金融資産を保有していない、との調査結果が出ています)
 出典元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」2016年 の4ページより

これだけの老後資金を現役時代に準備することが、かなり大変だという現実をこの調査結果が物語っていますね。

世論調査の数字(金融資産を保有していない世帯:30.9%)を逆にみると、約7割の世帯が老後資金としての金融資産を保有している(金額は別として)ともいえます。このように金融資産を準備している人は、老後資金の準備対策がある程度実践できている人だと思います。

現に、私の場合は老後資金として若い時から準備をして、上記に近い金額を準備できていました。しかし、人の人生には何が起きるか分からないことを身をもって体験しました。

それは、突発的かつ継続的な支出が発生した体験(後述)です。その様な突発的な事態が発生すると、さらに定年後の必要資金は増加傾向になる事は必定です。

親の介護は避けて通れない、そして多くの費用が掛かる

私の場合、現役時代に「定年退職後に掛かる生活費」以外に、突発的かつ継続的な支出が発生しました。

私が50歳代中頃に、両親が同時に認知症を発症し、暫くは自宅介護をしていましたが、我々夫婦の介護負担が重くなり、このままでは我々夫婦と両親とが共倒れになると思い、両親を特別養護老人ホームにいれる事にしましたが、入所待機者が300人近くもあり、特別養護老人ホームへの入所は断念しました。そこ後、私設の介護付き有料老人ホームに入所することが出来ました(両親同時に入所)。

ここからが大変でした。介護付き有料老人ホームの月額費用は1人約22万円/月で、両親合計で約44万円/月の費用支払が毎月発生しました。
両親の年金受給額は二人合わせて約18万円/月なので、約26万円/月(18万円-44万円=▲26万円)は私達夫婦の預貯金を取り崩して補填しました。

現在は、両親とも他界しましたが、両親の老人ホーム入所期間が結構長くなり、最終的には私達夫婦のために準備していた老後資金から補填することになり、その補填額は約2,500万円でした。

圭一
これ、凄く辛いことです

両親の認知症は治ることなく最後まで老人ホームに世話になりましたが、きちんと両親を見送る事が出来たので、後悔はありません。
但し、私たち夫婦の老後資金として準備していた預貯金残高は、ほんの少しだけしか残らず、ほぼアウトな状態になりました。

最後に

現役時代に定年後の資金を試算し、万全の状態で怠りなく準備していても、突発的な事態で大きな出費を余儀なくされるケースもあります。それが、私の場合は両親の認知症の発症でした。

私は、両親の介護中に定年退職となりました。
暫くは、年金受給に加えて自分の残りの預貯金を取り崩して生活していましたが、将来に対する不安がいつも心の奥底にありました。

圭一
結構、重たい話になり、失礼しました。

そこで、私は年金受給という収入源だけでなく、年金以外で、そこそこの収入を得られる道を選択する事にしました。
これ以降は、私のプロフィールを参照して下さい。

今回のテーマは、定年退職後の必要資金の試算でした。老後資金として準備する金額は、ザックリと約1,200万円~2,400万円が試算できましたが、この通り準備出来ても人生には何が起きるか分からず、予定外の出費があることも念頭に置く必要があるとの結論でした。

更に言えば、平均寿命はあくまで平均です、人は何歳まで生きるか誰も分かりません。従って定年後も頭・身体が動くあいだは仕事をして、僅かでもいいから年金以外の収入源を確保することが必要だと、思っています。さて、あなたの場合は如何でしょうか?